市場規模は年々拡大
矢野経済研究所の市場調査によると日本国内において、RPAの市場規模は直近5年間で下記のように推移しています。
▼2016年度/85億円
▼2017年度/178億円
▼2018年度/338億円
▼2019年度/529億円
▼2020年度/729億円(予測)
また、同社は今後の市場動向として、次のような市場規模の成長を見込んでいます。
▼2021年度/1020億円(予測)
▼2022年度/1285億円(予測)
▼2023年度/1520億円(予測)
上記の調査結果と分析について、矢野経済研究所は「RPAはブームを終えて、本格的な利用拡大フェーズへ」という見出しで市場を分析しています。2021年度以降はRPAの導入に成功した企業がより大規模なRPAツールを導入し、全社的にRPAの活用を拡大していく見込みです。
そのような最新動向において、RPA業界で優位に立っているのは市場シェア最大手のUiPathや高い国内シェアを誇るWinActorです。両社をはじめとするRPAベンダーには、企業の市場価値や株価上昇といった効果も出ています。
また、世界全体で見たRPAの市場規模としては、2020年度に日本円で約650兆円に達するという予測もあります。米国のコンサルティング企業であるマッキンゼーはRPAの活用拡大について、世界全体で仕事の1/3が、2025年までにRPAに置き換わるという見解を表明しました。
一方で近年、RPAの活用・浸透に苦労する企業が増加している実態もあります。なかなか業務の自動化に成功しないことにしびれを切らし、RPAに幻滅する企業も出てくるほどです。
このような状況に対して、矢野経済研究所は前述のRPA市場規模調査の中で「より多くのユーザ企業がRPA導入の成功体験を実感することが重要」と述べています。
向こう3年間で1,500億円規模まで成長することが見込まれるRPA市場。2024年度以降にさらなる成長をとげるかどうかは、導入企業1社1社のRPA活用度合いにかかっているでしょう。
日本は、高齢者人口が労働者人口の1/2.5に達するといわれる2030年問題を抱えています。そしてその問題を解決するのがRPAだといわれています。
RPAはミスの削減や校正ツールとしての役割にも期待
RPAの市場規模が伸びている背景には、生産性向上以外の要因もあります。たとえばRPAを導入すれば、人が行う作業のミスを削減や、細かい作業に取り組む精神的な負担の軽減が期待できます。人間が作業した成果物の校正ツールとしても、RPAは活用可能です。
この点について矢野経済研究所の市場調査では、次のようなポイントがまとめられています。
・コロナ禍で業績が悪化した企業では、RPAに対して省人化とコスト削減ニーズが高まる。
・業務量が増えた企業では、迅速に処理を進めるためにRPA活用が有効になる。
同社はこうした両面でのニーズの高まりを受け、これまで導入が遅れていた中小企業や地方自治体などでもRPAの導入事例が増えていく見通しを立てています。
また、生産性向上以外の効果が期待される点は、今後の市場規模予測にも影響を与えています。というのも、2023年度のRPA市場規模は事業者売上高ベースで1520億円ですが、そのうちRPAツール製品は520億円、RPA関連サービスが1,000億円となっています。
今後大きく成長していくRPA市場ではRPAツール本体だけでなく、RPAに付随するサービスが充実していく予測です。近い将来、RPAは業務の自動化だけでなく、ミスの削減や校正ツールとしての役割も担うようになるでしょう。
まとめ
この記事ではRPAに関連する市場の動向や市場規模についてまとめてきました。RPAの市場規模は年々確実に成長し、今後もさらなる発展が見込まれます。RPAの市場規模拡大に伴い、RPA関連資格やスキルをもつ人材への求人ニーズも高まるとともに、無料セミナーで企業のRPA導入を支援するRPAベンダーもその数を増やしています。
また、RPAを開発した企業の中には、規模を拡大し、ホールディングス化を実施する企業もあります。今後もRPAは多くの企業に必要とされ、市場規模は拡大していくことでしょう。
今回参考にした矢野経済研究所の市場調査の他にも、MM総研が「国内利用動向調査2020」という調査を実施。多くの企業にRPA市場の動向実態の調査結果と分析結果を提供しています。今後もRPAは社会の関心も多く集めていくでしょう。