
サクッとRPAを理解したいあなたのために
RPAの概要を資料にまとめました

RPAとは?
「RPA(Robotic Process Automation)」とは、ロボットが業務プロセスを自動化するシステムのことを指します。パソコン上で人間が行う業務プロセスをロボットに記憶させ、業務を効率化・自動化することができます。
例えば、データ入力や照合などの単純作業や、一定のルールに沿って行われる定型業務など、プロセスがマニュアル化されているような業務にRPAを導入すると、業務効率化の高い効果を実感できます。
RPAが登場した背景には、工場の製造ラインなど、ブルーカラーの業務で生産性向上を目指した改善が進められてきたことが挙げられます。ホワイトカラーでも同様に、ITを活用して生産性改善ができるのではないかとの考えが広まったことから、RPAが登場しました。
また、アウトソーシングやビッグデータなどIT技術の活用が拡大したことや、働き方改革の推進により業務効率化が求められていること、少子高齢化社会により労働力不足が懸念されることから、近年急速に拡大が加速していると言われています。
RPAの種類とは?
RPAは大きく分けて、「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。
■クラウド型
自社サーバーを持たず、インターネットを経由して利用する形態です。サーバー内でRPAを運用するため、複数ロボットの同時稼働や、業務を横断的に自動化しやすく、組織内で展開しやすいという特徴があります。
オンプレミス型に比べ、初期費用が安価なことが多く、インターネット環境があれば、場所を問わずに利用できるころもメリットでしょう。
製品例:BizteX cobit
BizteX株式会社が提供する、国内初のクラウドRPAツールです。
アカウント発行やロボット作成数が無制限で、直感的な操作でロボット作成ができる点が特徴です。
■オンプレミス型
サーバーを自社に設置して、RPAソフトウェアをインストールしたパソコン内で運用する形態です。RPAは担当者のパソコン内で稼働するため、操作が比較的簡単で管理もしやすく、他のシステムとスムーズに連携できる点が特徴です。また、自社に合わせたセキュリティ対策を取れることもメリットです。
クラウド型に比べ、初期費用が高く、担当者や部署を越えて展開することが難しい点がデメリットになります。
製品例:Robo-Pat
株式会社FCEプロセス&テクノロジーが提供する、現場向けのRPAツールです。
高度な画像認識機能で、対象となる画面のマウス・キーボードの操作を覚えさせることで、あらゆる業務を自動化できます。
■双方型
クラウド型・オンプレミス型の双方で提供するサービスです。
製品例:WinActor
NTTグループで開発され、4000社以上の導入実績のある純国産のRPAツールです。
プログラミング知識が不要で、Windowsで操作可能なソフトウェアに対応しています。
RPAを活用するメリット・デメリット
■RPAを活用するメリット
第一に、「業務の効率化」ができます。プログラミングされたロボットが、24時間稼働することも可能なため、人間以上のスピードで業務を行います。生産性が向上することで、人間はより付加価値の高い業務に集中できます。
次に、「ヒューマンエラーの予防ができます。RPAは、決められたルールに沿って作業するため、正確なアウトプットが期待できます。さらに、「コストの削減」に役立ちます。RPAが業務を自動化することで、人件費の削減ができます。
■RPAを活用するデメリット
「導入コストが高額」な点が挙げられます。初期費用に加えて、専用のパソコンを用意する場合にはコストがかかります。
他にも、RPAはマニュアル化された業務を自動化するため、指示を誤ると「誤った処理の反復」をしてしまいます。研修や定期メンテナンスを実施して、正確な処理をするロボットを作成しましょう。また、システムが自社業務に浸透するまでに時間がかかることもあります。
■RPAの得意分野・不得意業務
RPAは、「判断を伴わない、単純な作業」が得意です。そのため、データ入力や照合、登録など、マニュアル化しやすい業務や、メール配信、受注処理、集計、リスト作成など、繰り返しの多い業務に向いています。
一方、RPAは「判断を伴う作業」や「複雑な作業」は不得意です。ルールに沿わない例外処理が発生した場合には、作業が止まってしまうため、人間が判断をする必要があります。また、複雑な処理は、タスクを分解して工程ごとに指示を出すことが求められます。

RPA導入事例集
導入前の課題や導入後の効果をインタビュー

AIやVBAと何が違う?
■RPAとAIの違い
「AI(Artificial Intelligence)」は人工知能のことで、人間の思考や知能、知覚、行動などを、人工的に再現できるため、AI自身が判断をすることができます。一方RPAは、判断を伴う作業には向いていません。
近年では、RPAとAIを組み合わせ、より高度な自動化を目指すことができるようになりました。例えば、AI-OCR(光学文字認識)を活用して、手書きで書かれた書類を読み取り、デジタル化したデータをRPAがシステムに入力することができます。
■RPAとVBAの違い
「VBA(Visual Basic for Applications)」とは、Microsoft社のOfficeアプリケーション(Excel、Word、Accessなど)の処理を自動化するプログラムのことです。一方RPAは、Officeアプリケーションを含む、パソコン内の作業全体を自動化することができます。
また、VBAは専用のプログラミングが必要となりますが、RPAは一般的にはプログラミング知識がなくても利用できる点も異なります。
RPAの導入手順はどうするのがベスト?
RPAの導入時には、成功に導くための手順があります。5つのステップに分けて解説しますので、試してみてください。
■(1)全体の計画を立てる
RPA導入時には、全体の計画を立てることが重要です。まずはRPA導入の目的を明確にし、自動化する業務や最適なRPAツールを選択します。
その上で、RPA運用時の社内体制やエラー発生時の対応を含めて、どのようなスケジュールで計画を進めるかを検討しましょう。
■(2)社内の推進体制を整える
通常業務と並行してRPA導入を進めるためには、社内の推進体制を整える必要があります。
このとき、RPA導入を進めるリーダーを誰にするのかがポイントになります。リーダーは、対象業務のフローや操作を、現場の視点で理解していることが重要です。対象業務の担当者などと協力して、社内の推進体制を整えましょう。
■(3)効果のシミュレーションを行う
業務内容やコストなどを洗い出し、RPA導入後の効果をシミュレーションしましょう。机上検証とも言われるこのプロセスでは、「対象業務でRPA導入・活用ができるか」「どのくらいの効果を得られるか」「導入・運用のコストはどれくらいか」などを明確にします。
シミュレーションは、小規模な導入の場合は1回、会社や部署全体の場合は、全体と業務とで分けて2回行いましょう。
■(4)小さな規模で試してみる
シミュレーションの結果、RPA導入に前向きな反応が見られたら、小さな規模でRPA導入を試してみましょう。をPoC(概念実証)や実証実験と言われるこのプロセスでは、計画の通りに導入を進めて良いかを検証します。
スモールスタートで試した結果、想定していた成果が得られない場合は、対象業務や導入スケジュールなどを再度検討することが必要です。
■(5)実際に導入する
スモールスタートで試した結果、想定していた成果が得られた場合には、現場が主体となり導入を進めていきます。
RPAシステムの構築方法は、納期や最終システムの要件を定める「ウォーターフォール型」と、納期や最終要件を定めず、「実装→テスト→修正」を繰り返す「アジャイル型」があります。自社に最適な法を選択し、スムーズな導入を実現しましょう。

実際に導入を進める際のポイントをご解説

業務効率化に成功した事例を紹介
RPA導入により、業務効率化に成功した4社の事例を紹介します。導入前の課題や導入した業務、得られた効果について、実際の事例をまとめました。
■辻・本郷税理士法人(士業)
導入前の課題:毎月の定期業務を手作業で行っていたため、時間と手間がかかる 対象業務:給与計算、社会保険業務 導入効果:毎月の業務を自動化し、時間短縮と人為的ミスの削減に
社会保険業務や給与計算業務を行っており、給与計算業務では、1~300人程度の顧客企業に在籍する従業員の給与計算を代行しています。ルールが企業ごとに異なり、Excelデータを手作業で管理システムへ入力していたため、時間と手間がかかる点が課題でした。
スターティアレイズの導入支援パッケージを利用して、5カ月で「Robo-Pat」を導入し、給与計算と社会保険業務で運用しています。毎月の定期業務を自動化したことで、時間短縮と人為的ミスの削減ができるようになりました。
(参考)給与計算・社会保険業務にRobo-Patを活用
■株式会社利他フーズ(商社・卸売業)
導入前の課題:手作業のため発生するミスや手間、作業の属人化が課題 対象業務:受注処理、出荷報告 導入効果:約10個のロボを稼働させ、顧客へ迅速なレスポンスが実現
馬刺しの通販事業を展開しており、自社サイトをはじめ、複数モールの受発注を基幹システムで一括して行っていました。受注処理業務では、手作業のため人為的ミスや手間が発生しており、その作業自体が属人化していたことも課題となっていました。
受注処理、出荷報告の業務にRPAを導入しました。約10個のロボットを運用して、ケアレスミスや手間が大幅に削減できています。また、休日にも稼働させることで、顧客へ迅速なレスポンスが実現した点にも、効果を感じています。
(参考)“業務の棚卸し”がRPA導入のきっかけになり、自動化で作業の手間&ミスの心配がなくなった
■第一経理グループ 社会保険労務士法人第一コンサルティング(士業)
導入前の課題:マニュアルもなく、非効率で我流の作業が増加していた 対象業務:算定基礎届の電子申請 導入効果:120時間以上が削減でき、売り上げも向上した
社労士部門の社会保険の手続き業務では、5人で約450社分を対応していました。紙の書類が多く、マニュアルも整備されていなかったため、非効率さと我流の作業が課題となっていました。
算定基礎届の電子申請業務では、書類をAI-OCRでデータ化し、RPAでソフトに入力して表を作成する作業を自動化しました。繁忙期には、120時間以上の削減に成功し、従来行っていた入力チェックも不要となり、業務効率化ができています。残業時間も大幅に削減しつつ、売上は向上しているため、従業員のやる気も向上しました。
(参考)算定基礎届にAI-OCRとRPAを導入し、生産性向上+従業員のやる気もアップ
■株式会社芝パークホテル(旅行・宿泊業)
導入前の課題:毎日手作業で行う業務が多数あり、業務フローの改善が必要だった 対象業務:日別売上データの収集業務 導入効果:手作業の工数がゼロになり、月間22時間が削減できた
働き方改革をきっかけに、業務の効率化に着目したところ、業務フローに多くの改善点があることが分かり、RPA導入を進めていきました。毎日手作業で行っていた業務を中心に、約2カ月間で4つのロボットを作成しました。
日別売上データの収集業務では、売上金管理システムのデータと現金を照合し、エクセルの管理表に転記する作業を自動化しました。毎日1時間かかっていましたが、RPAで自動化することで、月間22時間の工数削減に成功しました。
(参考)RPA導入をきっかけに業務フローを見直し月間22時間の工数削減に成功

上記以外の事例インタビューを見る
RPA導入事例集13選

RPA活用時の重要なポイントは?
RPAは単純作業や定期業務を自動化できるため、業務効率化の実現に大きく貢献します。RPA導入を成功に導くためには、導入時やロボット作成のプロセス以上に、運用や見直しのプロセスに力を入れることが重要です。一度ロボットを作成したら完成ではなく、計画時には顕在化していなかった課題を反映して、より高精度のロボットへと修正する必要があるからです。
RPA活用時には、対象業務を熟知した現場が主体となってRPAの知識を持ち、実際に運用していくことが求められます。最初はスモールスタートでRPAを導入し、効果が出た業務を中心に、部署を越えて社内全体へと推進することができれば、企業全体の業務効率化にも役立つでしょう。
RPA導入から運用までを推進するなかで、不明点が出てきた際には、RPA提供企業からサポートが得られると安心です。サポート内容や方法などを事前に確認し、充実したサポート体制を提供する企業のツールを使用することが、スムーズなRPA活用に繋がります。
まとめ
働き方改革の浸透にともない、多くの企業では生産性向上を目指した取り組みが進められています。そのなかで、RPAは業務効率化を目指すシステムとして注目を集めています。
一見ハードルが高いと感じるRPAですが、導入目的や対象業務を明確に、導入手順に沿って進めていけば、想定以上の効果を実感できるでしょう。現場主導で導入を進めることで、ミスマッチを予防でき、業務効率化を実現することができます。RPAの種類や、業務効率化に成功した事例紹介、RPA活用時のポイントなどを参考に、自社に最適なツールを見つけてみてください。

実際に導入を進める際のポイントをご解説
